かえるの?おうじさま

さく・え やしろかなめ

 

 

昔、ある国のお姫様が、森の奥にある泉のほとりへ、一人で遊びに行きました。
お姫様は、ふとした拍子に持っていたボールを泉に落としてしまいました。
深い水に入っていけないお姫様は、そこにいたカエルに、拾ってくれたなら願いを何だって聞いてやると約束したのでした。
カエルはその言葉を聞くと、ボールを拾って お姫様のところへと運んできました。

「それでは ボクの およめさんになってケロ」

「むり…
ゲロゲロ…(吐)」

 

 

 

 

 

 

お姫様は、薄気味悪いカエルとの約束を守るつもりなどなかったので、お城へと逃げ帰りました。だけどカエルは、お姫様を追って、お城へとやってきたのです。
突然現れたカエルに、お城は大騒ぎになりました。
けれど、お姫様からその理由を聞いた王様とお妃様は、お姫様に約束を守るように言い、カエルを受け入れたのでした。

「ひめや ドレスは どうしたんだい?」

「に…にあいすぎて シャレになんないんだもん」

 

 

 

 

 

 

お姫様は渋々言いつけを守って、カエルと一緒に暮らすことになりました。カエルが一緒に遊びたいと言えば、一緒に遊びました。

カエルは、お姫様と同じテーブルで食事もしました。
お姫様と同じ皿から食べて、同じコップから飲みました。

「あ~~~ん」

「………」

 

そして、とうとう、お姫様と同じベッドで寝ると言い出したのです。

「きゃあ~~~~~っ」

お姫様は思わず、ベッドに入ろうとしたカエルをつかむと、壁に投げつけました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、どうでしょう。
カエルは若くて美しい一人の王子へと変わったのです。

「くるしゅーないぞ」

カエルの正体は、魔法使いに体を変えられた、とある国の王子だったのです。そして、その魔法を解くためには、お姫様の力が必要だったのでした。

元の姿に戻ることのできた王子様は喜んで、お姫様を妃に迎えました。そして、二人は末永く幸せに暮らしたのでした。

 

 

 

 

 

「いやぁ~~~~んっ(号泣) とっとと でていってー!」

「ボクだって こんな ひめとは けっこんしたくない! いずみに もどるケロ!」

「ええ? かえっちゃうの?」

「かえるの? おうじさま」

 

 

めでたしめでたし

 

 

 

 

「……ところで…、今回、アー坊の出番ってどうなってんの?」
「あ~、はずれクジ引いたらしいよ」

 

「ちくしょー!
まほうつかいは でばんがないのかー!?」

(2004.9.16)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

似合いすぎてシャレにならない……

 

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